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2017-08-22

きっと間に合う

30歳までに結婚! が口癖だった私が、27歳の誕生日を迎える少し前のこと、運命の出会いが訪れた。とても温和な方で、私にはもったいない男性だった。おつきあいは順調に進み、2度目のクリスマスを一緒に過ごし、心身ともに充実していたある日。大きなチャンスが舞い込んだ。発表会でソロを踊らないかという提案。なぜ劣等性の私に声がかかったのかはわからなかったけど、でも私はその無謀なチャンスを受けることにした。その日から毎週の休みを練習に費やすことになる。一人で練習を重ね、時にはアレグリをマスターしている先輩に踊りを見てもらった。彼とのデートは激減したけれど、愛情は深まっていくように思えていた。マメな彼はおにぎりとよく冷えたウーロン茶を持ってスタジオに迎えに来てくれた。私はそんな彼のためにも頑張り続けた。季節は移り、桜が散り始めたある日。真夏のように暑い午後だった。いつものように彼が用意してくれた冷えたウーロン茶が美味しかったのを覚えている。「好きな人ができたんだ」 突然の言葉の意味が理解できない。私は黙っておにぎりを食べ続けた。「一緒に頑張ったアレグリアスだったのに、見てくれることはないのね」と呆然と考えながら、目の前の桜吹雪が大泣きするかのように散っていくのを見た。あれから10年。傷心の私を強くしてくれたのは良くも悪くもフラメンコだった。今の私の口癖は、40歳までに結婚! まだ諦めてはいない。きっと間に合うはず。

(神奈川県・マカロン/39歳)

パセオフラメンコ2010年10月号 掲載

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