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2017-08-10

押し入れを開けるまで

人生は色々だ。起業して6年目、仕事で心に打撃を受けてしまい、それは落込むというレベルのものではなく、やりがいと感じていた事さえ重圧へと変化し、やること全てが怖くなるという私はもはや重症患者だった。持病まで悪化し、あまりの心の余裕の無さにフラメコを休む日が続き、悩んだ末、今優先すべきものからフラメンコは外し休会を決意。正直ほっとして心が軽くなった。だけど、同時に自分に負けた気がして、家中のフラメンコグッズは全て押し入れに封印してしまった。
 数か月後、仕事で良い事のあった日の帰り道、リズムを口ずさみながらプランタタコンをやっていた。帰宅後おそるおそる押入れを開けてみると水玉の衣装、お気に入りの朱色のパリージョや総レースのアバニコ等が目の前に広がる。踊りたくなった。フッションショーをし、音楽を流し小太郎(チワワ3歳)に披露してみた。その時の気持ちは活字ではどうしても表現できない。押入れから全て出してあげた。自己嫌悪に苦しんだ心も一緒に。今はフラメンコが純粋に好きで踊りたいと思う。暗闇から見えた一すじの光はフラメンコは逃げないという事。辛い時にこそフラメンコという人もいれば、辛い時には踊れないという人もいて、私が後者だったのには我ながら驚いたが、今後もこういう事はあるだろう。けれど、好きだからこそ休む事も恐れない心を持てた今、私にもう押入れは必要ない
(東京都 さくらこ 42歳)

<パセオフラメンコ2009年10月号 掲載>

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