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2017-08-10

気付かれてませんでした

幾度目かのカンテ教室発表会。ソロで、ブレリアを歌うことになった。憧れてやまないカディスの、大好きなマノロ・バルガスのブレリア。典型的なブレリアのメロディで始まり、途中から長調に転じて粋に(原曲は……)終わる。3分ほどの短いブレリアなのだが、聴かせどころが多く、私は燃えていた。ところが、発表会まで10日ほどに近づいたある日。師匠がのたまった。「やっぱり短いから、歌ひとつ増やそうか」。……なんですと!? 私の動揺は無視され、新しいブレリアの歌を短期間で覚えることになってしまったのだ。記憶力をフル稼働し、なんとか覚え込んだ。新しい歌は、本来のブレリアのひとつめとふたつめの間に入れることになった。そしていよいよ、発表会当日。ギターさんはふたり。リハーサルは、きわめて順調に終わった。しかし私は知っていた。リハーサルが順調に行ったときは、落とし穴が待っていることを……。そして本番で、やってしまった。ひとつめの歌のあと、つい慣れ親しんだふたつめの歌に入ってしまったのだ。気づいた瞬間、脳内プチパニック。だが、せっかく新しく覚えた歌をうたわないのも惜しい。そこでふたつめの歌の後に、しかもギターが長調に転じかけていたにも関わらず、強引にその歌を入れてみた。終了後、ギターさんに謝りにいった。ギターさん、きょとんと「……何が?」。……気づかれてませんでした。結局私以外誰も気づいてなかったという、トホホなお話。

(神奈川県 ワカニータ 44歳)

 

<パセオフラメンコ2009年10月号 掲載>

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