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2017-08-16

背中を押すエール

カンテ歴は一丁前にあるのに、「声」だけがカンテじゃない。録音聴いても自分の唄ってるDVD見ても、「日本人女性が真似してるだけ」に聴こえてしょうがない。あまりにも自分の声にコンプレックスが大きすぎて唄うことが怖くてたまらなくなった。傷心旅行のつもりでスペインに旅立った。何日かして異国での暮らしにも慣れ、友達も少しずつ増えてきたある週末の夜、行きつけのバルで友達と飲んでいると、ギターを持った人達が現われ、ちょっとしたフィエスタ状態になった。しばらく時間が経ち、友達のひとりが「PASTORAも唄ってみろよ!」と言う。自分にできるのか? このフラメンコの産まれた土地で唄っていいのか? フラメンコの声を持たない日本人の自分がそんな大それたことをしていいのか? 逡巡している自分を友達が舞台へと引き上げる。ギタリストは既にカポをあげて待っている。
……ブレリアを一節、二節。唄い終わった私の耳に聞こえてきたのは大きな拍手だった。たくさんの「ゥオレー!」ももらった。なんだなんだ? と戸惑う私にギタリストさんがこれからも頑張れとハグしてきた。このおかしな声のどこがよかったの? 思い切って欠点をさらけ出した度胸への「ゥオレー!」だったのか? よくわからなかったが沢山の拍手は気持ちよかった。声は一生変わることはない。でもこれでいいんだ。これがいいのだ! 唄が好きだから唄い続けたい。それだけ。あれからも立ち止りそうになると、あの拍手の嵐が私の背中を押してくれる。

(神奈川県・PASTORA/年齢秘密)

パセオフラメンコ20104月号 掲載

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