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2017-08-19

愛しのロメーラ

もう何年も前の話です。レッスン仲間の女性が、ホアキン・グリロのロメーラのビデオを貸してくれました。このことをきっかけに私達は親密になり、恋人同士になっていきました。その後、フラメンコをもっと深く知りたいと思った私は、マドリードのアモール・デ・ディオスを訪れました。経験不足の私には苦い体験でした。コンパスや曲の構成を理解していない事に加え、スペイン語が理解できない私には、何気ない言葉も厳しく聞こえたのです。大の男が半泣きでした。彼女の励ましがなければどうなっていたことでしょう。帰国後は、私たちの出会いのキッカケのロメーラをパレハで踊りました。二人で幾日も自主練習を重ね、本番当日の緊張の中で舞台を踊り抜いた達成感、仲間や観客の賞賛は最高でした。それからも私達はカンテやパルマを共に学び、最高のパートナーとして過ごしました。彼女のためにと覚えた歌は数知れず。しかし別れは突然訪れました。私は仕事に支障をきたすほど落ち込み、フラメンコも辞めました。彼女を思い出すもの全てから逃げたのです。 数年後、営業時に見かけた看板に足を止めました。思い切って再開したフラメンコ。今もロメーラを踊る時は切なさがこみ上げます。しかし今ではあの経験があってこそと思えるようになりました。留学生活を乗り切れた自信、彼女と踊りきったロメーラは揺るぎない軸となりました。私は今日も彼女のために覚えた歌を歌います。あの時とは違う気持ちで。

(住まいは西の方・カルロス/41歳)

パセオフラメンコ20107月号 掲載

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