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2017-08-20

エアパルマ

  フラメンコ歴8年。何年たっても上達しない私は人前で踊るのが好きになれなかった。1週間後に舞台を控えても、パルマの裏打ちが全く出来なかった私は、先輩に助けを求めた。私はどうしたら裏打ちがとれるようになるかとコツを聞いたのだが、先輩はあっさりと言った。「無理よ。諦めることね」諦める? 舞台を? 驚く私に先輩は「残り1週間で現在出来てないものを出来るようにすることは諦めた方がいい、しかしもっと大切なことがある」と教えてくれた。まずは最高の笑顔を作ること、フリを間違えても足を止めないこと、下を向かないこと、常に観客と目を合わせて踊ること。それは、難しい裏打ちや足打ちが出来るとか、間違えずに踊るとか、そんなことより断然大事なことなのだと。「練習では覚えろ覚えろと教わるけど、本番は全て忘れて笑っていればいいの」「忘れていいんですか? じゃぁエアパルマでいいですか?」「よくはないけど……。じゃぁそのかわり笑顔で」。迎えた本番では、言われた通りパルマや足打ちを潔く諦めた。お客さんの目を見て笑顔を振りまくことだけに専念した。すると踊りはひどいものであったにもかかわらず、今までの舞台で一番褒められた。嬉しかった。先輩も褒めてくれると思った。すると今度は「今日のひどいパルマを克服しようね」とガッツリお説教。ということで発表会が終わった今、私は遅ればせながら裏打ちの練習に励んでいる。エアでない本物のパルマを打つために。

(神奈川県・feliz/30歳)

パセオフラメンコ20108月号 掲載

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