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2017-08-21

桃色の恋心

 大失恋の後、二度と恋などしないと思っていたのに、また恋に落ちた。片想いは苦しいことも多いけど、毎日がまるで春の始まりのよう。面倒だった出勤前の化粧にだって身が入る。マスカラは三度塗り。グロスもバッチリ。朝食もしっかりとってストレッチまでしちゃう。こんなにウキウキする日々は久しぶり。
レッスンだって楽しくなってきた。習っていたソレアは叶わぬ恋をする私にはピッタリだった。辛い恋に身を焦がす自分に酔いしれながらの自主練。そして発表会。私は渾身の勇気を奮ってその恋のお相手にチケットを渡した。彼への想いをこめたソレアを見てもらい、告白しようと思っていた。ところが私はその舞台で尻もちをついてしまったのだ。前を見据えたまま後ろへ下がる時にボランテを踏んでしまった。失敗はほんの一瞬だったけど、正面に向かって披露したおぱんつは、証拠写真として一生残ることとなった。彼にも見えたであろうピンクのおぱんつ。あぁどうして黒にしておかなかったのか。黒衣装の中に桃色の恋心を忍ばせろと助言した友人を恨んだ。しかもそのピンクのハートは彼には伝わらなかったようだ。その後彼と発表会について触れることはなく、告白もまだ……。でもいいの。なんだか私モテモテになっちゃったから。黒ばかり着ていた服を春色にかえ、おぱんつだけでなくブラウスもピンクにした。そしたら映画やお食事のお誘いが一気に増えて忙しくなった。どのお誘いも女性からというのが唯一の不満。

(東京都・シホ/39歳)

 

パセオフラメンコ20109月号 掲載

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