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2017-08-22

今度こそ逃げずに

私はクラスで一番出来が悪い生徒でした。でも先生は私に合わせてゆっくりレッスンをしてくれ、恵まれた環境にいたんです。クラスの中に一人際立つ女性がいました。彼女はよく練習が終わったあと、わからないところを私に手ほどきしてくれました。教え方の上手な彼女のお陰で私はレッスンについていけていました。でも疲れた私の心は病んでしまいました。彼女に教わっているとイライラするのです。そういえば補修してほしいとお願いしたことはない。どうしていつも教えてくれるのだろう? と考えたことがきっかけでした。「見下されている?」 卑屈なあまり失礼な考えが浮かびました。情けない自分の姿と比べ、憧れだった彼女の踊りを見るのが辛くなっていきました。そして私は黙って教室をやめたのです。アレグリアス完成まであと2ヶ月という秋のことでした。
優しくしてくれた人に対して、どうしてあんな気持ちを持ってしまったのでしょう。気持ちが落ち着いた私は、先日、数ヶ月ぶりに彼女に電話を掛け、辛かった思いを打ち明けて謝りました。すると彼女も彼女なりに持っている劣等感を話してくれました。踊りも満足したことなどないそうです。だからこそフラメンコを踊るのだと言う彼女の潔いこと。あと少しで閑静だったアレグリから逃げてしまったことが心から悔やまれました。
フラメンコ。再開することにしました。今度は焦らずに、自分のペースで一曲きちんと完成させるつもりです。

(神奈川県・MIMI/32歳)

パセオフラメンコ201010月号 掲載

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