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2017-08-27

実るほど!

万年初心者クラスから抜けられなかった私が、発表会が苦手だった理由は、単に下手だったからではなく、気疲れしてしまうからでした。ギターさん、カンテさんにお茶を出す、楽屋の掃除、関係者さんの案内、などなど。無論その仕事が嫌だというのではありません。お世話になった人や、施設に感謝を込めるのは当然のことですから喜んで! ですが、なんせ頭がまわらないのです。頭の中は、最後の最後まであわなかったフォーメーションのことばかり。「あそこの足は右からだったかな」と考えては、お茶をいれつつ足踏みをしていました。
そんなある日、私は主人の転勤で引越しをしました。新しい地でも、フラメンコ教室を探し、やはり迎えた発表会というイベント。いつものように裏方仕事をするつもりでいた私は唖然としました。「裏方は、上級クラスがやる」。余裕がある者が雑用をした方が良いからという理由らしいのですが、私には衝撃でした。手伝いを申し入れた私に、先輩方は「もっと上手になったら手伝ってね」と冗談めかして笑いました。いくら踊りに余裕がある上級者でも、更なるプレッシャーがあったはずなのに。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。そんな言葉が浮かぶと同時に、上手になりたい! 初めて強く思ったのはこの時です。そんな理由で? と自分でも笑うけど。優しくお茶をいれながら、舞台では力強く踊る美しい姿を見て、私もあんなバイレになりたいと、いえ、あんな人間になりたいと思ったのでした。

(神奈川県・ロサ/37歳)

パセオフラメンコ20113月号 掲載

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