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2017-09-02

蕎麦屋より愛をこめて

街の小さな蕎麦屋に嫁いできたヨメの趣味は、フラメンコ。人前で踊りを披露しするほどの腕前を持っていたらしく、、教室に通う以外にも一人で練習する時間を設けているとつきあい当事は聞いていた。結婚して店を手伝うと練習量が減るであろうというのが長年プロポーズを断り続けられる理由だったのだが、そのあたりを渋々覚悟してもらっての、嫁入りだった。私としては、結婚してもヨメが趣味を続けることは構わなかったのだが、彼女はスッパリとやめてしまった。中途半端に続けても意味がないとのことだった。毎日だった練習日を週2回くらいに減らせばよいのでは? ともすすめたが、プロ? の感覚はそういうものではなかったらしい。
ヨメに女将としての貫禄がついてしばらくして、親父が胃がんを患った。元気をなくした親父を励まそうとヨメが考えてくれたのがフラメンコパーティだ。2階の宴会場に親父の将棋仲間を呼び、フラメンコを披露した。老人たちは蕎麦を食べながら手拍子を打って喜び、涙した。これが私がはじめて見たフラメンコだった。ヨメが言うには、その道の人には見せられない踊りだったらしく、蕎麦屋の和室で踊るのも邪道とのこと。でも私には十分感動させられるものだった。いいじゃないか。踊りのことは何もわからないが、親父が活力を取り戻して手術に向かったのは事実だ。そして、近所の老人達からアンコールを受けて「フラメンコin蕎麦屋」をもう4回やっていることも事実だ。

(横須賀市・徳の輔/47歳)

パセオフラメンコ20119月号 掲載

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